古い時計
子どもの頃、お盆はよく母方の祖母の家に遊びに行きました。
今でも家より田んぼの方が若干多いところです。
今なら「のどかでいいなぁ」なんて思えるのですが、
子どもにはとにかく暇ですることがない。
小さなお堂があるのですが、その縁側に座ってボーとする。
出来事としては、セスナ機が飛んで来て、スーパーの安売りを
宣伝しながらゆっくり飛んでいくぐらい。
あまりに時間がゆっくりなのでテレビを付けるが、チャンネルが3つしかなくてすぐに消す。
また縁側に座ってボーとする。
今年は祖母の家を建て替えたこともあり、何年かぶりに数日をその新しい家で過ごしました。
時間の流れ方はまったく変わっていませんでした。
まったく新しい家なのですが、むしろなつかしい感じがする。
気が付くと、祖母の頃から使われてきた古い時計の音だけがする。
これか。と納得した。
そのロシア製の時計は、家が変わろうとも、近くに大きな道路が出来ようとも、
あの頃とかわらない音で時間を見つめている。
子どもの頃の、あのどうしていいかわからない時間が、その音の中に
宿っているような、そんなふうなことを思った夏休みでした。
(気が付くと少し遅れぎみ。この時計のプライドだったりして。)