クペ
「クペというパはバレエの歴史と同等に古い」
(「美学」217号『「クペ」から見たバレエ史』より)
バレエをされている方は「だから?」、
されていない方は「何の話?」といった反応が期待出来そうですね。
クペとは、いわば一つのステップの名前で、
たくさんあるステップ(というか、型?)の総称をパ(pas)といいます。
(バレエをされてる方、この解説で許していただけます?)
具体的にクペとは、その場で軸足を交換するステップで、
動きから動きへの繋ぎ役。
「パとパの間にクペというパがある」
という文章が成立するのですが、なんだか呪文みたいですね。
17世紀前半にクラシック・バレエの原型が生まれたといいます。
今では繋ぎ役というか、より華やかなパに仕える「接続詞」という、地味なクペですが、
当時からすでにクペは存在して、もっとも重要なパの一つであったとか、
そんなふうなことが先ほどの本に書かれています。
で、このクペ。
バレエ史400年の間には、生まれては消えていくパがあったにもかかわらず、
今まで存続しつづけている。しかも、今のものと17世紀のものとは、
ぜんぜん形が違い、意味も「接続詞」というより「息継ぎ」であったとのこと。
ただクペという概念、つまり、「切る」という概念は変わっていない。
「切る」という概念がバレエにとって不可欠だからこそ、
形を変えながらも存続しているということらしいのですが、
なんだかおもしろいですね。
「切る」という概念は変わらないものの、時代によって「意味」も「形」も違う。
これって何かにあてはまりそうなんですけど、
なんだっけなぁ。