鞍
ロス・ラブグローブというデザイナーの学生時代の逸話。
革のイスを制作するために、
乗馬用の鞍をつくる職人のもとへ訪れると、
その職人は夜の11時でも古い鞍の手入れをしている。
「騎手に何か問題があったのか?それとも特別な鞍なのか?」
と聞くと、職人は言いました。
「乗り手はどうでもいい。私は馬のことを気にしているんだ。
馬はしゃべれないだろう。」
妻は我が家のネコとよく会話していますから、
乗馬をしている人がこの話を聞くと「馬だってしゃべれるわよ」
とか言われそうですけど(笑)、
気になったのは「乗り手はどうでもいい」というところ。
職人である以上、きっとこの人もそんなことは
思っていないと思う。
それでもそんなふうなことを言う裏には何があるのか?
馬にとって鞍ってなんなんですかね。
で、ラブグローブはこの職人に惚れ込んでイスの制作協力を求め、
美しいイスを完成させたそうです。
ちなみにこのロス・ラブグローブという人、
アップルのニュートンやソニーのウォークマンのデザインも
手がけたデザイナーとのことでした。
(旅行先、雨の日の写真。)